〈土方氏クリニックコース聞きどころ〉
【ボーカル】
星街すいせい「夜に咲く」
ホロライブ所属のバーチャルアイドル、昨年から今年にかけて最も注目されたvttuberの一人でもある。
現代の楽曲らしく、低域がかなり強力に入っています。イントロのベースは重量感があり、レンジも低め。
ソースに忠実にしっかりと出しながらも、音階がわかるようにリアリティを出すのはかなり難しいと思います。
特にサビの部分での分解能への挑戦はチャレンジング。反面、低域を絞ると、もう1曲のクラシックが腰高になってしまうところが難しい。
また、イントロからはベース以外にシンセサイザーも入っていますが、広がりと左右のバランスには注意してください。
ボーカルについては、コンパクトというより少し広めですが、これまでお話ししているように、しっかりとセンターに定位させ、
バックミュージックからやや前方に浮かび上がるように表現すると印象が良くなるはず。
人気アーティストの楽曲ををかっこよく表現してください。
【クラシック】
エミリー・ダンジェロ 「Tesori: Grounded (Live)」
トラック 14 A 「Great Team (Live) 」
トレンドに乗らせてもらったので、もう一曲は少し異色の楽曲にしました。クラシック楽曲とは思えない戦闘機パイロットのジャケットですが、
トニー賞に輝く音楽劇の名手J・テソーリによる話題のオペラの楽曲です。課題曲にオペラが選ばれることは少なく、一瞬少し難しいと感じられる
方がいらっしゃるかもしれませんがかもしれませんが、この楽曲を選んだ最大の理由は、近年のカーオーディオコンテストのクラシック曲で
重視されるサウンドステージにおける各楽器や声の配置が難しいからなんです。まずオペラの楽曲において表現の基本となるのはオーケストラの生演奏と歌手の声が融合し、圧倒的なスケール感と感情表現が味わえること。指揮者はコンテストの課題曲でもよく耳にするヤニック・ネゼ=セガンです。イントロはオーケストラの演奏から始まり、聴感上のダイナミクスが高く壮大な表現です。中盤からはセンターに弦楽器と複数の歌手が現れ、オーケストラと掛け合います。時折聞こえる観客の声との
レイヤー的分離も重要なポイントです。繰り返しになりますが、本楽曲における各楽器や歌い手との位置関係の表現は、最近のクラシック曲の中でも難易度が高く、
取り組みがいがあると判断しています。