イースコーポレーションコース課題曲

【イースコーポレーションコース課題曲】

Ryu Miho: Breeze of you

【Track4】Sailing Around

https://www.qobuz.com/jp-ja/album/breeze-of-you-ryu-miho-/twmaharmcalsb

〈聞きどころ〉

“Sailing Around”は、Ryu Mihoの清冽なヴォーカルとアコースティック主体のサウンドが静かに広がる、詩的で透明度の高いバラード。この楽曲は、音数こそ多くないが、それぞれの音が持つ質感と余韻が丁寧に作り込まれており、いわば「静けさの中にあるディテール」をきちんと再現できるかどうかが、オーディオ装置の真価を問うリファレンス的な1曲でもある。帯域バランスは中域が主軸だが、高域の空気感や低域の支えも繊細に整っているため、特定の帯域だけが目立っても、この楽曲の持つ柔らかさや立体感が崩れてしまう。特にヴォーカルの定位が左右にぶれることなく、センターやや手前に自然に浮かぶかどうかは、空間再現力と音像の明瞭さの両面を試されるポイントだ。また、ピアノやベースのアタックやディケイに不自然なピークや歪みが出ると、せっかくのナチュラルな演奏が平板に聞こえてしまう。つまり、この曲は派手な音ではなく、音の立ち上がりや消え際をどれだけ濁らせずに描き切れるか、という“過渡応答性”の良し悪しがはっきりと結果に出る。空間表現としては、左右方向の広がりはあるが奥行きの誇張は控えめで、ステージがリスナーの目の前にふんわりと展開するような感覚。ここで左右のバランスや残響の揃い方が不自然だと、歌と演奏が乖離して聴こえてしまう。つまり、“Sailing Around”は、オーディオ装置の過度な色づけや誇張を許さず、逆にピュアで誠実なシステムでこそ、その繊細な世界観が立ち上がってくる。そんな、静かなる試金石のような楽曲だ。