峯岸先生より課題曲の解説をいただきました!

FKJ
“Way Out”

FKJは、音楽プロデューサーのヴィンセント・フェントン(Vincent Fenton)によるソロプロジェクトです。彼は7歳の頃、両親からプレゼントされたサックスをきっかけに音楽の世界に足を踏み入れ、その後ギター、ベース、ドラム、キーボードを独学で習得しました。わずか13歳で自身の楽曲を完成させ、ヒップホップとR&Bの要素を巧みに取り入れた独自の音楽を発表しました。FKJの楽曲は、しばしばエレクトロニックとアコースティックの要素が見事に融合し、洗練されたサウンドを生み出しています。

それは彼の最新作「Way Out」でも同様で、エレクトロニックサウンドと生演奏の要素が見事に調和しています。この曲の再生は、豊かな低音域を保ちつつ、中高音域もクリアに表現したいと考えています。もしLRの再生系の相関が十分であれば、曲のイントロでFKJの足音と呼吸音のフィールドレコーディングはファントム音像として感じる一方、ABステレオ方式マイクで収録されたピアノは、周囲に広がるような音場を醸し出し、聴衆を包み込むでしょう。また一方で上記のような細かいことは気にせず、洗練されたサウンドをゆったりと楽しむことができれば良いとも考えます。

アルバム 
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
M1 Mozart: ヴァイオリン協奏曲 第1番 変ロ長調 K. 207 – 第1楽章: Allegro moderato

フランスの優れたヴァイオリニスト、ルノー・カプソンが、2021年秋にローザンヌ室内管弦楽団の芸術監督に就任して以来、待望のプロジェクトに取り組みました。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集を収めたアルバムです。このアルバムの1曲目、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調 K. 207の第1楽章「Allegro moderato」を課題曲として選定しました。ルノー・カプソンが芸術監督を務める室内管弦楽団との共演により、カプソンのヴァイオリンから流れ出る音楽は、情熱と技巧の融合であり、モーツァルトの楽曲に新しい命を吹き込んでいます。

この曲の繊細な音色をそのまま楽しむためには、特に中高域での歪みを最小限に抑えることが重要です。特に、3ウェイスピーカーの場合ミッドレンジ、2ウェイの場合はウーハーから、この楽曲のバイオリンの基音である、200Hzから1500Hzが再生されますが、その帯域が特に歪みが少なく、特定の周波数での共鳴や強調を避けるよう再生を心掛けたいです。さらに、再生系の左右の特性に相関が十分であれば、ホールトーンの広がりや、ソロバイオリンの演奏中に現れる微妙な音色ニュアンス、音像の移動を鮮明に感じることができるでしょう。